失業給付(基本手当)の支給額は、退職前の賃金・年齢・勤続年数で決まります。本記事では、誰でも自分の基本手当日額を計算できる3ステップを、雇用保険法に基づく正確なロジックで解説します。簡単な電卓があれば、5分程度で自分の受給予定額が把握できます。
STEP1:賃金日額を算出する
賃金日額とは、退職前6か月間の総支給額(賞与を除く)を180で割った金額です。これが計算の出発点になります。
- 計算式:(退職前6か月の賃金合計)÷ 180
- 例:月給25万円が6か月続いた場合 → 150万円 ÷ 180 = 賃金日額 8,333円
- 残業代・通勤手当・各種手当も計算に含めます
- 賞与(ボーナス)と退職金は計算に含みません
- 休職・欠勤で賃金が著しく下がった月は除外して計算(特例)
賃金に含まれるもの・含まれないもの
「離職票-2」の「賃金支払状況」欄に記載される金額が基準ですが、内訳の判断が混乱しやすい項目があります。
- 含まれる:基本給、残業代、深夜・休日手当、通勤手当、家族手当、役職手当、皆勤手当、住宅手当
- 含まれない:賞与(年3回以下のもの)、退職金、結婚祝金、見舞金、会社都合の解雇予告手当
STEP2:給付率を判定する
給付率は賃金日額に応じて50%〜80%の範囲で連続的に決まります(雇用保険法第17条)。
- 賃金日額 5,110円以下:給付率80%(最低保障)
- 賃金日額 5,110〜12,580円:80%から50%へ逓減(賃金日額が上がるほど給付率は下がる)
- 賃金日額 12,580円超:給付率50%(高所得者は一律)
- 60〜64歳の特例:賃金日額 5,110〜11,300円で80%→45%へ逓減
逓減区間の正確な計算式は 0.8 -(賃金日額-5,110)/7,470 × 0.3 です。たとえば賃金日額8,333円なら、給付率は約67%、基本手当日額は5,583円になります。
STEP3:上限額・下限額のチェック
計算した基本手当日額には、年齢別の上限額・下限額が設けられています(2024年8月改定値)。
基本手当日額の上限額(年齢別)
- 30歳未満:上限 7,065円
- 30〜44歳:上限 7,845円
- 45〜59歳:上限 8,635円(最も高い)
- 60〜64歳:上限 7,420円
- 下限額(全年齢共通):2,295円
つまり高所得者は45〜59歳でも日額8,635円が天井で、月収100万円でも90万円でも基本手当日額は変わりません。一方、低所得者は最低でも日額2,295円が保証されます。
受給総額の試算
基本手当日額がわかれば、所定給付日数(90〜360日)を掛けて総額を試算できます。月収別・勤続年数別の試算例を示します。
例1:月収20万円・勤続3年・35歳・自己都合
- 賃金日額 6,667円 → 給付率 約75% → 基本手当日額 約5,000円
- 所定給付日数 90日(自己都合・35-44歳・10年未満)
- 総額 約45万円
例2:月収30万円・勤続15年・50歳・会社都合
- 賃金日額 10,000円 → 給付率 60% → 基本手当日額 6,000円
- 所定給付日数 270日(会社都合・45-59歳・10-20年)
- 総額 約162万円
例3:月収45万円・勤続25年・55歳・会社都合
- 賃金日額 15,000円 → 給付率 50% → 7,500円(年齢別上限8,635円以下)
- 所定給付日数 330日(会社都合・45-59歳・20年以上)
- 総額 約247万円
失業手当のよくある誤解
- 誤解①「最後の月給がそのまま給付になる」→ 実際は約60%程度
- 誤解②「6か月分まとめてもらえる」→ 4週間ごとの認定で振り込まれる
- 誤解③「離職票が来ないと何もできない」→ 仮受給申込はできる
- 誤解④「就職活動しなくてももらえる」→ 認定期間中2回以上の活動実績が必要
監修者からのアドバイス
計算式は単純ですが、退職前6か月の賃金に「何が含まれて何が含まれないか」が落とし穴になります。退職時の最終給与だけで判断すると、実際の受給額より低く見積もる方が多いです。離職票の「賃金支払状況」欄をしっかり確認し、不明点があればハローワーク窓口で確認することをお勧めします。
また、賃金日額の計算で残業代・通勤手当・住宅手当が含まれていないケースがあります。会社が誤った金額を記載することもあるので、必ず給与明細6か月分と照合してください。違いがあれば、ハローワーク窓口で再計算を依頼できます。
ご自身の場合の正確な受給額は、年齢・勤続年数・退職事由で大きく変わります。無料相談で個別に試算します。