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鈴木 一郎社会保険労務士・1級FP

60歳以降に厚生年金に加入しながら働く場合、給与と年金の合計が一定額を超えると「在職老齢年金」として年金の一部または全部が支給停止されます。働きすぎると年金が減るというジレンマを、正しく理解して回避することが重要です。本記事では、在職老齢年金の計算・回避戦略・退職時改定・将来の制度改正動向まで完全解説します。

在職老齢年金の基本

支給停止ラインの計算(2022年4月以降)

用語の定義

シミュレーション

ケースA:給与30万円・年金月額10万円

ケースB:給与40万円・年金月額15万円

ケースC:給与60万円・年金月額20万円

ケースD:給与80万円・年金月額20万円

支給停止を回避する4つの戦略

戦略1:給与を50万円以下に調整

戦略2:厚生年金非加入の働き方に切替

戦略3:年金を繰下げて回避

戦略4:パート・アルバイトでの就業(社会保険適用外)

「報酬比例部分」のみが対象

支給停止の対象は老齢厚生年金(報酬比例部分)のみで、以下は対象外です。

退職時の特例(退職時改定)

退職して1か月経過すると、年金額が再計算されます(退職時改定)。

「在職定時改定」(2022年4月新設)

65歳以上で在職中の人は、退職を待たずに毎年10月に年金額が見直されます。

標準報酬月額の決まり方

賞与の扱い

賞与は「標準賞与額」として総報酬月額相当額に加算されます。

制度改正の動向

政府は在職老齢年金の見直しを継続的に検討しています。

シミュレーション:60代後半の働き方

パターンA:嘱託で月給40万円・年金月額15万円

パターンB:個人事業主で月収40万円・年金月額15万円

監修者からのアドバイス

在職老齢年金で支給停止になっても、その分は将来戻ってきません(消滅)。「働けば働くほど年金が減る」ように見えますが、給与は支給停止より高いため、トータルでは働いたほうが手取りは多くなります。

とはいえ、停止額をゼロにできるなら越したことはありません。給与を50万円以下に調整する、繰下げ受給と組み合わせる、業務委託契約に切り替える等の戦略で、停止を最小化できます。年間で50〜100万円の差が出ることもあるため、退職前の働き方設計は重要です。

2022年に60〜64歳の支給停止ライン(旧28万円)が65歳以上と統一され、より働きやすくなりました。今後の改正動向(支給停止の完全撤廃議論等)も注視が必要です。

個人事業主・フリーランスへの切替は、収入金額の制約がない一方、社会保険・税負担の自己責任があります。年金フル受給のメリットだけでなく、国民健康保険料・所得税の増加も考慮した総合判断が必要です。

あなたの場合の最適な働き方・年金受給戦略は、無料相談で個別シミュレーションします。