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山下 裕太特定社労士・15年実務

退職後の健康保険には、「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養」の3つの選択肢があります。どれを選ぶかで年間保険料が10〜30万円変わるケースもあるため、慎重な比較が必要です。本記事では、3つの制度の特徴・保険料試算・失業給付期間中の戦略・「タイミング戦略」までを実例で解説します。

3つの選択肢の概要

1. 任意継続被保険者制度

2. 国民健康保険(国保)

3. 家族の被扶養者になる

具体的な比較シミュレーション(3パターン)

ケース1:年収520万円・配偶者と子1人扶養・東京都在住・自己都合退職

選択肢A:任意継続(協会けんぽ東京)

選択肢B:国民健康保険(東京都世田谷区)

選択肢C:配偶者の扶養(配偶者が勤務継続)

このケースでは 家族の扶養(0円) > 任意継続(36万円) > 国保(63万円) の順で有利。家族の扶養に入れるなら迷う必要はありません。

ケース2:年収300万円・独身・東京都在住・会社都合退職

選択肢A:任意継続

選択肢B:国保(軽減措置適用)

このケースでは国保(軽減措置)が圧倒的有利。会社都合の方は必ず国保軽減を活用してください。

ケース3:年収700万円・独身・名古屋市・自己都合退職

選択肢A:任意継続

選択肢B:国保(名古屋市)

このケースでは任意継続が17万円有利。高所得者は任意継続が有利な傾向。

選択の判断フロー

  1. 家族(配偶者・親)が会社員で扶養に入れるか? → YES なら扶養(0円)
  2. 本人の年収が130万円超 or 失業給付日額3,612円超で扶養に入れない? → 任意継続 vs 国保で比較
  3. 会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)? → 国保軽減措置でほぼ国保有利
  4. 標準報酬月額が高い人(年収500万円超・自己都合)→ 多くは任意継続が有利
  5. 前年所得が低い・扶養家族が少ない人 → 国保のほうが有利な場合も

失業給付期間中の特殊ルール

失業給付の日額が3,612円を超える場合、給付期間中は家族の扶養から外れる必要があります。

「タイミング戦略」で保険料を最小化

退職→失業給付→再就職の流れで、保険を切り替える戦略:

期間 状態 保険
退職直後(給付制限中) 収入なし 家族の扶養
失業給付受給中 日額5,000円 任意継続 or 国保
給付終了後・求職中 収入なし 家族の扶養に再加入
再就職 給与収入 新会社の健康保険

このように切り替えると、給付制限期間と給付終了後の合計約4〜6か月は保険料0円で過ごせます。年間で15〜20万円の節約になることもあります。

任意継続の落とし穴

国保の世帯合算

同じ世帯(住民票上)の人がいる場合、国保料は世帯単位で計算されます。

監修者からのアドバイス

多くの方は「とりあえず任意継続」を選んでしまいますが、これは標準報酬月額が高い人にだけ有利な制度です。低〜中所得者は国保のほうが安い場合も多いので、必ず両方の保険料を試算してください。

市区町村役場で「国保保険料の試算」、退職前の健保組合で「任意継続の保険料」を聞けば、すぐに比較できます。失業給付の受給予定がある方は、給付期間中・終了後で制度を切り替える戦略も検討すると、年間で10万円以上節約できることがあります。

会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)の方は、必ず国保の軽減措置を申請してください。退職時に離職票を持参して市区町村役場に行けば、その場で軽減判定が受けられます。年間で30〜40万円の差が出ることもある重要制度です。

あなたの場合の最適解は、無料相談で個別に試算します。