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佐藤 あき税理士・CFP

公的年金は通常65歳から受給できますが、受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選べば、最大75歳まで遅らせて受給額を1.84倍に増やせます。長生きリスクへの最強の対策ですが、損益分岐点があるため判断が必要です。本記事では、繰下げ受給の仕組み・損益分岐点・他制度との関係・最適な選び方を完全解説します。

繰下げ受給の基本ルール

増額率の早見表

受給開始年齢 増額率 標準年金200万円の場合
65歳(通常) 0% 200万円
66歳 +8.4% 217万円
67歳 +16.8% 234万円
68歳 +25.2% 250万円
69歳 +33.6% 267万円
70歳 +42% 284万円
72歳 +58.8% 318万円
75歳 +84% 368万円

損益分岐点シミュレーション

標準年金額200万円/年のケースで、何歳まで生きれば繰下げが得かを比較:

70歳まで繰下げの場合(増額率42%)

75歳まで繰下げの場合(増額率84%)

72歳まで繰下げの場合(増額率58.8%)

日本人の平均寿命と判断軸

このデータから、女性は繰下げが有利になる確率が高い傾向にあります。男性も65歳まで健康なら繰下げのメリットが期待できます。

繰下げのメリット

繰下げのデメリット・注意点

「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を別々に繰下げ可能

2つの年金を別々のタイミングで繰下げできます。

受給開始の判断軸

繰下げを推奨できる人

繰下げを慎重に検討すべき人

「繰上げ受給」との比較

逆に、年金を65歳より早く受け取る「繰上げ受給」もあります。

5年遡及一括受給制度(2023年4月新設)

繰下げ待機中に資金が必要になった場合、過去5年分を一括で受給する選択肢があります。

税負担の影響

年金受給額が増えると税負担も増えますが、必ずしも繰下げが不利になるわけではありません。

シミュレーション:60代後半の生活戦略

パターンA:65歳完全リタイア・年金即受給

パターンB:70歳まで嘱託勤務・年金繰下げ

パターンC:70歳までiDeCo・退職金で生活・年金繰下げ

監修者からのアドバイス

繰下げ受給は「ギャンブル」ではなく「長生きリスクへの保険」です。65歳時点で5年分の生活費(貯蓄)が確保できるなら、70歳まで繰下げて+42%増を狙う価値は十分あります。

また、繰下げ中は在職老齢年金との関係も重要です。65〜70歳で働き続けて月収が高い場合、本来支給される年金が減額対象なら、繰下げて減額を回避するほうが有利になります。給与50万円超で年金月額10万円超の場合は要シミュレーション。

配偶者が年下の場合は加給年金(年額40万円程度)が支給されるため、本人が繰下げ中は加給年金が止まります。配偶者が65歳になるまで繰下げを我慢する戦略も有効です。

2023年新設の「5年遡及一括受給」を活用すれば、繰下げを途中でやめる選択肢もあります。フレキシブルな戦略で、健康状態を見ながら判断できます。

あなたの場合の最適な受給開始年齢は、健康状態・他の所得・配偶者の年齢で変わります。無料相談で個別シミュレーションをご提供します。